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Joe Biden

バイデン政権の誕生と米・イラン関係

Posted on 2021年4月9日
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こうした中、2021年1月20日にバイデン政権が誕生しました。バイデン大統領は、オバマ時代の「イラン核合意に復帰する」という公約を掲げてきました。国家安全保障会議(NSC)や国務省の主要ポストに、オバマ政権時代にイランとの核交渉に携わった人たちを次々に任命してイランとの交渉再開に意欲を示しています。

しかし、イランは、すでに「核合意」からの違反行為、例えばウランの濃縮度を20%まで高める活動や、新型の遠心分離機をたくさんつかった活動、さらに核兵器の原料になるとされている金属ウランの製造など、あまりにもたくさんの違反行為を進めてしまっています。

イラン側は、“米国(トランプ政権)が核合意から一方的に離脱して制裁を科してきたので、それに対応した行動をとっている”だけだと主張。「米側が対イラン制裁を解除して核合意に戻れば、イランはすべての違反行為をやめて核合意の履行に戻る」と主張しています。

一方バイデン政権側は、イランが合意違反行為をやめれば米側も核合意に復帰すると主張して、“どちらが先に動くか”で対立が生じました。イラン国内の反米強硬派は、「米国が制裁を解除しない限りイランは妥協してはならない」と主張し、米国内の反イラン強硬派も「せっかくトランプ政権が積み上げてきたイランへの圧力を緩めてはならない」と主張してバイデン政権に圧力をかけています。両政府ともに、国内の“強硬派”の存在が交渉を難しくしているのです。

タイミングの悪いことに、イランでは今年6月に大統領選挙があり、保守強硬派は国際協調派のロウハニ大統領に外交上の得点を与えないように足を引っ張っています。彼らは“バイデン政権がイランに譲歩して制裁を全面的に解除しない限り核開発を止めるな”、とロウハニ政権に圧力をかけます。イラクで米軍基地にロケット弾が撃ち込まれるのも、こうした駆け引きや揺さぶりの一環だと考えられます。

バイデン政権も、核交渉には前向きですが、米国民の命が危険に晒されるようなテロは許さないという姿勢を見せなければなりませんので、非常に抑制された形で報復攻撃を行いました。それが2月後半に起きた“シリアのイラン系武装勢力への空爆”の意味です。

さらにこの状況を複雑にしそうなのが、中国の存在です。

3月27日、イランを訪問中の中国の王毅外相がイランのザリフ外相と、経済や安全保障分野で今後25年間にわたり関係を強化することを定めた包括的協力文書に署名したことが明らかにされました。

協力の柱は、中国が金融、通信、港湾、鉄道や情報技術など多岐にわたる分野でイランに投資する代わりに、イランが原油などのエネルギーを中国に安価で提供することのようです。が、それ以外にも軍事面での協力や、米国の制裁回避のために中国がイランに協力すること等が含まれているとされています。

バイデン政権は欧州の民主主義国を中心にグローバルな連合を形成して中国に対抗する外交を進めていますが、それに対して中国は世界中の権威主義国家や反米体制国家との結束を強めて対抗しようとしています。この文脈の中で、中東でイランを強力に後押しするというのですから、イランの反米強硬派たちが勢いづいているのは間違いないでしょう。

米国とイランの間接的な交渉は今も続いていますが、4月中にバイデン政権がイランに大きな譲歩案を提示して交渉路線への道筋をつけない限り、5月以降イランは選挙で手一杯になり米国との交渉どころではなくなります。6月には今のロウハニ大統領よりも強硬な大統領が当選する可能性が高いので、交渉はさらに難しくなるでしょう。

そうなれば、イランの核開発がさらに進み、以前と同じようにイスラエルがイランの核武装を懸念してイランに対する軍事攻撃を主張して緊張が高まる事態も十分に予想されます。戦争の危機が高まり、何とかそれを避けなければならないというところまで世界が追い詰められてはじめて、バイデン大統領は“イランに対して譲歩するか、中東における新たな戦争をはじめるのか”の二択を迫られることになるかもしれません。

当然、その時にしなくてはならない譲歩は、現時点のそれより大きなものになるでしょうから、今少しの譲歩をしてでも交渉路線に戻してしまう方が得策だと筆者は思うのですが、そうした長期的な視野に立つ判断はなかなかできないものです。

いずれにしても、米・イランが交渉路線に戻れるかどうかは4月中が勝負です。ダメな場合は年内にイラン核危機が再燃するリスクが高いと考えるべきでしょう。

ちょうどここまで書いていたら、4月6日にウィーンで行われた米・イランの間接協議に動きがありました。バイデン政権がここに来て、イランに大きな譲歩をしてでも、交渉路線を軌道に乗せようと戦略を変えてきたようです。前進しそうな流れが出てきました。

次回は、新たな米・イラン交渉について解説したいと思います。

画像:Shutterstock

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